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フューネラルドゥーム追っかけブログ。

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ホラー映画のサントラ要素を絡めたフューネラルドゥーム

The Undergrave Experience 『Macabre Il Richiamo Delle Ombre』
┃イタリア
┃1stアルバム
┃ジャンル/フューネラルドゥーム
┃リリース/2011年(CDR版:2010年)
┃レーベル/Solitude Productions


 フューネラルドゥームにホラー映画のサントラを組み合わせる発想は、すでにアメリカのThe Liquescent Horrorが実行に移している。しかし、仕上がった音はチープで聴くに耐えず、残念ながら発想以前の問題でした。完成を見ずに発想だけが宙に浮いている状況のなか、高い描写力を持って横からかっさらっていったのがこのバンド。The Liquescent Horrorには悪いけど、彼らに求めたものを高いレベルで実現してしまっている。

 ホラーと銘打っていても、あくまで一昔前のピアノを主体としたアプローチを繰り広げるので、ダークアンビエントを挿入して恐怖感を煽るタイプとは毛色が異なり、怖さよりもミステリアスな色合いが強い。なので本気で怖さを欲している人にはオススメできませんが、あの時代のバタ臭さをも兼ね備えた確信犯的なサウンドは、それとは違った魅力を放つ。とりわけ、#2は怪しげなメロディが多く、どこのメーカーかもわからない古いホラームービーを覗き見るような感触が面白い。
 また、ただ単にホラー風味をくっつけただけに留まらないのも、このバンドのすごい点。如何わしい雰囲気を匂い立たせるメロディだけでなく、情感を駆り立てるメロディまでも取り込み、悪しき存在を浄化させるようなシーンへと導いて、聴き手の鬱屈すらも一緒に綺麗さっぱり祓ってくれる。どことなく満たされた聴後感が心地良い。

 まだ一作目であるにもかかわらず、すぐにSolitude Productionsが拾ったことからもポテンシャルの高さが裏付けられるというもの。またひとつ、安心して聴けるバンドが増えました。
 しかし、ここまでやられたらもはや先行バンドの立つ瀬が……。

【ピックアップ】01.Mater Mortalis Tenebrarum
いきなりメロディを求めて聴く人を落としにかかる。成仏できそう。

■こんな人にオススメ
・昔のホラー映画が好き
・メロディを求める
・シンフォニックな要素も欲しい

■主な入手方法
・AMAZON(DLのみ)
・Solitude Productions

■この音源に近いアプローチをとるバンド
The Liquescent Horror
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恐怖感が解放感へと反転するフューネラルドゥーム

Yhdarl 『Ave Maria』
┃ベルギー
┃5thアルバム
┃ジャンル/アンビエント/フューネラルドゥーム
┃リリース/2011年
┃レーベル/Genickschuss Eucharistie
┃マイスペース/
http://www.myspace.com/yhdarl
┃バンドキャンプ/http://musicalexcrements.bandcamp.com/album/ave-maria

 ベルギーのドゥーム/ブラックメタルバンドによる、フルとしては恐らく5作目。
 多作家で、チープなブラックメタルをやったり、ノイズをガビガビいわせていたり、ドローンを垂れ流しにしたりで、負の音楽ジャンルに見境なく手を出していますが、本作ではフューネラルドゥームの形態を採用。

 一聴してまず耳にこびりつくのが、数々の絶叫、苦悶の声。水面下では神聖な歌声が響き渡っているものの、素知らぬ顔で何層にもベタベタと汚していく。もうここまで描写されれば、腐った水の匂いがむせかえるほど充満する地下で、無数の亡霊が蠢いているイメージしかわいてこない。中盤にて、ようやくギターが加わりドゥームらしくなるも、描く世界観は変わらず醜悪。

 ここまでだと単に怖がらせるタイプの音楽ですが、意外な印象をもったのは終盤。いったんアンビエントパートを差し込み、十分に間をおいたところで、今度はシンセを纏ってバンドサウンドが復活するのですが、新たに加わったシンセによるところなのか、先ほどとは違って妙な解放感があり、瘴気を溜め込む一方だった楽曲に風穴を開けていく。恐怖を煽る絶叫も、閉塞感をなんとか掻きわけようとする必死な声に聴こえてくるものだから不思議。いつしか感情移入してしまい、聴き終わった後は予想外な余韻がわきあがってくる。

 正直に申し上げますと、完全にネタ枠だと思っていました。すみませんでした。

【ピックアップ】02.Ave Maria (Orchestral Version)
 安らいだピアノから始まる余韻の後押し曲。序盤の不気味さはどこにいったのか……。

■こんな人にオススメ
・怖い音楽が聴きたい
・閉塞感を打破したい
・意外な展開を望む

■主な入手方法
・bandcamp経由でフリーダウンロード可能

■この音源に近いアプローチをとるバンド
Disjecta Membrae、The Undergrave Experience


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本来は遅いのに何故か速く聴こえるデンマークのドゥーム/ブラックメタル

Hexis 『XI』
┃デンマーク
┃1stミニアルバム
┃ジャンル/ドゥーム/ブラックメタル
┃リリース/2011年
┃レーベル/Enjoymet Records
┃マイスペース/
http://www.myspace.com/hexisband
┃フェイスブック/http://www.facebook.com/Hexisband
┃バンドキャンプ/http://hexisband.bandcamp.com/

※風景ジャケに似合わずサウンドは苛烈を極めている。
※苛烈を極めているが実はそんなに爆走はしていない。

 デンマークのコペンハーゲンを拠点とするドゥーム/ブラックメタルバンド。音について簡単にまとめると上記のようになる。
 基本的にミドルテンポで進むブラックメタルでありながら、ブルータルブラックに迫る苛烈さを纏っているのが最大の特徴。なので、最初に聴いたときは普通にブルータルブラックだと錯覚してしまいました。しかし、よく聴くとブラストビートは使われておらず、手はもっぱらシンバル系統を鳴らしていることが多い。ただその反面、異様に前面に押し出されたツーバス連打の存在があり、これがブラストと遜色ない勢いを生んでいる。そこに追い討ちをかけるかたちで圧迫感のあるリフが覆いかぶさり、やたらと攻撃的に急かすため、とてつもなく速く聴こえ、おびただしいほどの音の粒子が高速で飛び交う、暴風雨の如き多大なインパクトをも与えている。

 音の面でもアプローチの面でも翻弄してくれる面白い作品。

【ピックアップ】06.Seputus
 バンド側が自身のジャンルの1つにポストメタルを挙げていますが、ここにきてやっとその要素が出てくる。いまさら取り繕っても遅いと思います。

■こんな人にオススメ
・翻弄されたい。
・遅いのも速いのも好き

■主な入手方法
・bandcamp

■この音源に近いアプローチをとるバンド
Deathspell Omega、CELESTE


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バンド名などと反して、あくまで王道を貫くロシアのポストロック

417.3 『_(-_-)_』
┃ロシア
┃1stアルバム
┃ジャンル/ポストロック
┃リリース/2011年
┃レーベル/PLAY DEAD CARTEL
┃マイスペース/
http://www.myspace.com/4173music

 バンド名もアルバム名も曲名もふざけている。いかにも、インスト勢に一定数存在する「言葉で表現するのは野暮」というタイプであり、曲名が書かれる欄には数字や記号がズラズラと並ぶ。言葉による先入観をいっさい遮断する徹底ぷりで、アルバムタイトルにいたっては顔文字を使用している。さぞかし中身も遊び心で溢れているかと思えば、ポストロックの文法を手堅く守った作りで少しガッカリ。とはいうものの、その真正面に取り組む姿勢が功を奏したのか、丹念に紡がれる音が徐々に染み渡ってきて、これはこれで良いと思えてくる。

 特に目立つヴァイオリンも、この手の音ではもはや珍しい楽器ではなくなっていますが、それだけに効力は保障されているようなもの。わき目も振らずに腕を振るい、そっと背中を押されるような郷愁感を二重にも三重にも補強し、音の景色に溶け込ませていく。

 個性は薄いものの、無下にも出来ない作品。

【ピックアップ】10.+
 神聖さを匂わすアンビエントパートを経て、何故かエレクトロニカちっくになる曲。例によってタイトルに言及するのは野暮なんでしょうね。

■こんな人にオススメ
・静かな曲を聴きたい
・ポストロック好き

■主な入手方法
・myspace経由でフリーダウンロード可能

■この音源に近いアプローチをとるバンド
Caspian


 主食であるフューネラルドゥームを除いた2011年ベストアルバム。
 ジャンルは微妙に違えど、ガツガツしたバンドの多さに反動が見てとれますね。
 ※bandcampは仕様上音量調節ができないので注意。


 Twitterのほうでは、しきりにTHERGOTHONのDEMOが1991年リリースであることにかこつけて「フューネラルドゥーム20周年です! 20周年ですっ!」と連呼していましたが、奇しくも豊作ではありました。これでWORSHIPとProfetusの新譜が予定通りにリリースされていれば満点でしたが、あのLossがついにアルバムを出したので、その事実だけでも十分でしょう。


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路線をそのままに、さらに惹きつける力を身に付けた4thアルバム

Mournful Congregation『The Book of Kings』
┃オーストラリア
┃4thアルバム
┃ジャンル/フューネラル・ドゥーム
┃リリース/2011年
┃レーベル/20 Buck Spin
┃マイスペース/http://www.myspace.com/mournfulcongregation

 キャリアは20年近くと長いものの、細々と活動を続け、本作でようやく4枚目。路線そのものは初期とまったく変わっておらず、はっきり言って意外性はありません。

 実際、リリース前に公開されたTrailerを拝聴した際にも「いつも通りのMournful Congregation」という感想をもちました。もっともその後、リリース日が過ぎて、注文したアルバムが手元に届き、スタートボタンを押した数分後には、感想が「いつも通りのMournful Congregation」から「いつも通りだけどグレードアップしたMournful Congregation」へと変わっていましたが。
 実際、使われるリフやメロディなどのパーツ自体は凡庸であり、ゆえに、ぶつ切りにされたTrailerでは凡庸に聴こえる結果を生み出していましたが、逆に本作は、パーツの組み合わせに凝ってきた作品だからこそ、繋げて聴いて始めて高い訴求力を発揮できたと見ることもできるかと。特に#1の、クライマックスへと突入する前に、いったんアコースティックなパートを挿入し、叙情性を高めたうえで、ギターが大泣きする場面へとバトンタッチするくだりは抗う気すらなくなる。あと、#4中盤でSKEPTICISMよろしくオルガンで荘厳さを補強する手法も、アクセントとして効いていて良い。
 もともと安易なアプローチとはわかりつつも、一度踏み入れるとなかなか抜け出せない謎の引力を兼ね備える不思議なバンドではありましたが、まだまだ惹きつける力を蓄えるつもりのようです。

最後にひとつ、曲の流れに対する創意工夫がこれまで以上に施された作品なので、曲の個々としての完成度も過去最高潮ゆえに「他のアルバムを長編とするならば、本作は短編集」といった印象がなかなか抜けません。1曲聴くたびに余韻に浸りたくなるので、アルバムを通して聴きたい派である自分にとっては若干不満が残ります。贅沢すぎる不満ですけど。

予想通りな作品でしたが、ほんの少しばかり予想の範疇から飛び出たことが何よりも喜ばしい。

【ピックアップ】03.The Bitter Veils of Solemnity
 もはやお馴染みのアコースティックな響きを主体とした曲。おそらくこの種の曲を目当てにMournful Congregationを手に取る人もいるのでは? 木漏れ日の中、緩やかな雰囲気に包まれながら、ひとり佇む光景が幻視できてしまいそう。

■こんな人にオススメ
・ポジティヴに憧れる悲観主義者

■主な入手方法
・AMAZON
・WEIRD TRUTH
・diskunion
・GRAVE
・はるまげ堂

■この音源に近いアプローチをとるバンド
SOMNOLENT、Thergothon、Maiden Voyage





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