フューネラルドゥーム追っかけブログ。
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これまでの作品の要素が見え隠れするセルフタイトル作 Ea 『Ea』 ┃出身不明 ┃4thアルバム ┃ジャンル/フューネラルドゥーム ┃リリース/2012年 ┃レーベル/Solitude Productions ┃バンドキャンプ/http://eadoom.bandcamp.com/album/ea 正体不明フューネラルドゥームバンドによる4作目。トータル1曲47分。 自身の名をタイトルに据えている時点で期待が高まってしまうものの、結論から先に書くと期待値を高く設定してはいけない作品になっていました。 タイトルから想像できる通り、過去の作品の要素が見え隠れする作風となっていて、これまで出してきた要素の総括が目的であることが窺える。しかし、1stではシンフォニックに迫り、2ndでは重さで圧倒、3rdでは郷愁を誘うメロディを強化するなど、過去3作がそれぞれの方向で突き抜けていただけに、本作ならではの特色が薄くなってしまっている。どうしても「無難にまとまった」という印象がぬぐえないのが惜しいところ。 それでも決して駄作というわけもなく、一定のクオリティは保たれており、とりわけ、水のSEが挿入されたのちに静かに盛り上がっていく16分あたりと、低速を極めた沈んだ流れから、泣きのギターソロが起き上がってくる30分あたりは本作最大のハイライトと言えるほどで、過去作と比べても聴き劣りはしない。Eaのアルバムにしては特色がないというだけで、あと聴くのに大切なすべては詰まっている。このジャンルが好きなら損はしないはず。 あと、ついに1トラックになりましたが、もともとアルバム通して1曲といった作風であったために、過去作を知っている人にとっては特に問題はないかと。それに60分越えが当たり前なこの界隈において、47分はかなり短めな収録時間であるため、敷居は意外と低かったりもする。 ■こんな人にオススメ ・メロディックな作品に惹かれる ・落ち着きたい ■主な入手方法 ・AMAZON(DLのみ) ・zero dimensional records ・Solitude Productions ■この音源に近いアプローチをとるバンド Funeral Tears、The Howling Void、Kairi PR diSEMBOWELMENT元メンバー在籍のドゥーム/デスメタルバンド、デビューミニアルバム INVERLOCH 『Dusk | Subside』 ┃オーストラリア ┃1stミニアルバム ┃ジャンル/ドゥーム/デスメタル ┃リリース/2012年 ┃レーベル/Relapse Records ┃フェイスブック/https://www.facebook.com/InverlochOfficial/ ┃バンドキャンプ/http://inverloch.bandcamp.com/ オーストラリアのドゥーム/デスメタルバンドのデビューミニアルバム。全3曲22分。 diSEMBOWELMENTと言えば、デスメタルが生まれて間もない時期にドゥームメタルとの乗算をやったことでカルト的な地位を手に入れたバンドですが、その元メンバーが2人も在籍しているためか、スタイル的にはほぼ同じ。地面に押し付けられるような重量感を携えたデスメタルを演奏していて、たとえ疾走することがあっても重心低めであることには変わりなく、聴き手には常に圧迫感が加えられる。 ドゥーム/デスメタルのみならずフューネラルドゥーム界にも影響を与えたバンドでもありましたが、今回はフューネラルドゥームの要素は部分的にしか拝めなく、音に浸りきるまえに加速してしまうため、それらの要素を期待して聴くと肩透かしを食らうので注意。そもそもdiSEMBOWELMENTに比べるとドゥーム色そのものが薄いので、この音を主に受け入れられるのは90年代初頭のデスメタルを好む層あたりではないかと思う。 ともかく質は高いのでこの手のジャンルが好きなら要チェック。diSEMBOWELMENTが好きならもちろん必聴。 挨拶代わりだとわかりつつも、たった3曲では生殺しもいいところなので出来るだけ早めにフルをリリースして欲しい。 【ピックアップ】03.Shadows of the Flame 前半と後半に少しだけフューネラルドゥームらしいことをやっている曲。重く這うギターの音を下地に、もう一本のギターがクリーンな音を響かせる場面が特にお気に入り。一見綺麗な印象を受けるものの、ほの暗い妖しさを底に秘めている感じがとても良い。 ■こんな人にオススメ ・初期のデスメタルを好む ・diSEMBOWELMENTが大好き ■主な入手方法 ・AMAZON ・diskunion ・はるまげ堂 ■この音源に近いアプローチをとるバンド diSEMBOWELMENT、INCANTATION 丁寧な曲展開により場の支配力を強めた2ndアルバム PROFETUS 『・・・To Open The Passages In Dusk』 ┃フィンランド ┃2ndアルバム ┃ジャンル/フューネラルドゥーム ┃リリース/2012年 ┃レーベル/Weird Truth Productions ┃フェイスブック/http://www.facebook.com/SaturnineDoom ┃バンドキャンプ/http://profetus.bandcamp.com/ 2012年リリースのProfetusの2ndアルバム。 前作と同じく、オルガンの音色を主に荘厳な雰囲気を形作る路線を展開していますが、今回は特に中毒性が強化されているように思う。もともと展開の落差などはまったく考慮に入れないバンドでしたが、安定感重視な曲展開にさらなる磨きをかけている。重低音ギターと共に猛るオルガンが印象的なパートと、少ない音数で気配のみを漂わせるパートの移り変わりは、もはや空気の流れのように自然。音に浸ることのみをひたすらに追求しており「安易に停止ボタンを押せない度」は前作よりはるかに高い。 以前のレビューではSKEPTICISMそのまんまだと書きましたが、本家は4thアルバムにて叙情的な方面へと向かったのに対し、こちらは変わらず抽象的かつ儀式的なムードを守っている面が違いと言えば違いかもしれない。本家の活動の緩やかさと路線を継ぐバンドが少ないこともあって、一口にフォロワーといってもその存在価値は高いかと。おまけに本家では絶対にやらないようなクリーンボイスによる高らかな歌いっぷりも最後の最後で出てくるため、プラスアルファ面でも今後に期待。 部屋を真っ暗にして蝋燭のほんのりとした明かりのもとで聴きたい1枚。 【ピックアップ】04.Burn, Lanterns Of Eve 最後の最後に本家にないアプローチを聴かせてくれる曲。単なるフォロワーでは終わらないという気概を感じる。 ■こんな人にオススメ ・SKEPTICISM好き ・キーボード主体のバンドが好み ■主な入手方法 ・GRAVE ・diskunion ・はるまげ堂 ・WEIRD TRUTH ■この音源に近いアプローチをとるバンド SKEPTICISM、De Profvndis Clamati 少しだけ聴きやすくなったDéhàによるアンビエント/フューネラルドゥーム作 SLOW 『Deeper In The Space, Higher In The Ocean』 ┃ベルギー ┃2ndアルバム ┃ジャンル/アンビエント/フューネラルドゥーム ┃リリース/2011年 ┃レーベル/Self Released ┃バンドキャンプ/http://musicalexcrements.bandcamp.com/ ベルギーのDéhàによる独りアンビエント/フューネラルドゥームバンド。本編1曲60分、ボーナストラック1曲10分収録の計70分。今回も表記がないため仮に2ndアルバムとしておきます。自身のbandcampより配信。 本作もアンビエントの要素を絡めた路線を採用しているものの、以前よりシンフォニックなアプローチが増えたために若干ニュアンスも異なるものへと変化。前作は闇を少しだけ晴らしたNorttと例えたくなる印象でしたが、かすかにゴシックめいている場面もあることで、今回はチリのLethargy Of Deathあたりを想起。感情に訴えかけるギターソロも中盤以降に顔を覗かせることもあり、聴きやすさも出てきている。とはいえ、ジャンルに慣れていない人にとっては1曲60分の時点でハードルは高いと思うので、よほどフューネラルドゥームに入れ込んだ人にしか薦められませんが。 一応#2は結構メロディックな曲なので、ボーナストラック目的でダウンロードするのもあり。 【ピックアップ】02.Bonus Track ピアノがメインを務める10分の曲。とても憂鬱な雰囲気が出ていて、むしろ本編より気に入る人が多いのではないかと思う。メロディも覚えやすく聴き始めな人にも薦められる。 ■こんな人にオススメ ・人気ない場所に行きたい ・アンビエント系が好み ■主な入手方法 ・bandcamp ■この音源に近いアプローチをとるバンド Lethargy Of Death、Longing For Dawn あくまでも柔らかな聴き心地を追求するベルギーのアンビエント/フューネラルドゥーム SLOW 『Silence Lives Out/Over Whirlpool』 ┃ベルギー ┃1stアルバム ┃ジャンル/アンビエント/フューネラルドゥーム ┃リリース/2007年 ┃レーベル/Self Released ┃バンドキャンプ/http://musicalexcrements.bandcamp.com/ ベルギーのDéhàによる独りアンビエント/フューネラルドゥームバンド。2曲60分。特に表記がないため仮に1stアルバムとしておきます。自身のbandcampより配信。 以前のDEMO同様にアンビエント色を多く導入したフューネラルドゥームをやっていますが、ドラムの反響音に気を配っているのと、シンセのアプローチがよりキャッチーになっているため、Until Death Overtakes MeというよりもNorttの3rdあたりに近く感じる。それでいて“癒し”を第一に置いた雰囲気作りは健在であるので「マイルドになったNortt」と形容したほうがわかりやすいかもしれない。救えないほどの真っ暗闇ではなく、ちょうどジャケのような月明かりが闇を柔らかいものへと変えているイメージがあり、安心感が漂う。人気のない場所を散歩するのが好きな人にピッタリな音源かと。 【ピックアップ】02.Silence Lives Over Whirlpool 薄味な#1と違ってシンフォニックな味付けがされている曲。アルバムのハイライトを担う。 ■こんな人にオススメ ・人気ない場所に行きたい ・アンビエント系が好み ■主な入手方法 ・bandcamp ■この音源に近いアプローチをとるバンド Nortt、Until Death Overtakes Me 名刺代わりなDEMO音源 SLOW 『Demo - I』 ┃ベルギー ┃DEMO ┃ジャンル/アンビエント/フューネラルドゥーム ┃リリース/2007年 ┃レーベル/Self Released ┃バンドキャンプ/http://musicalexcrements.bandcamp.com/ 多数のプロジェクトを抱えるDéhàによる独りアンビエント/フューネラルドゥームバンド。1曲15分。自身のbandcampより配信。 低速に音を排出するギターとシンセが、暗くも居心地の良い空間を生み出す。同郷のUntil Death Overtakes Meを彷彿させる路線で、正直ほとんど違いはありませんが、細かく言うとあちらよりは孤独感を刺激するようなことはせず、あくまでも耳当たりの良い音を出すことに焦点を当てていることが違いと言えば違いか。 また、浸りきるには15分はあっさりと終わってしまうので、タイトル通りに名刺代わりと捉えたほうがいいかもしれない。 興味のある人は近作からどうぞ。 ■こんな人にオススメ ・フューネラルドゥームならなんでも聴きたい ■主な入手方法 ・bandcamp ■この音源に近いアプローチをとるバンド Until Death Overtakes Me、F.I.N 練られた曲展開とそれを突き崩すギターソロが魅力な3rdアルバム Helllight 『...And Then, the Light of Consciousness Became Hell...』 ┃ブラジル ┃3rdアルバム ┃ジャンル/フューネラル/ドゥームデスメタル ┃リリース/2010年 ┃レーベル/Solitude Productions ┃オフィシャル/http://www.helllight-doom.com/ ┃マイスペース/http://www.myspace.com/helllight ┃バンドキャンプ/http://helllight.bandcamp.com/ 2010年にリリースされた3rdアルバム。全6曲78分。 前作同様にメロディを多く導入したドゥームデスメタルをプレイ。曲展開はさらに練られたものになり、次の場面に移るときにはじっくりどころか執拗に前置きした後で行うので、テンションのアップダウンも非常になだらか。聴き手の裏を掻くことは考えずに慎重に導いていく。 そんな予定調和のなかに一際目立つのがギターソロ。出番を与えられた途端に、他の場面での落ち着きが嘘のような弾きっぷりを見せ、しっかりハイライトとしての役割を果たす。本作では歯止めのきかなさに磨きがかかっており、これ以上はクドくなると誰かが判断したのか、そのままフェードアウトしていく曲がいくつかあるのも面白いところ。 音質も向上したことで全体的に洗練されていますが、どこか付随してくる渋さも健在であるので、急激に感情を刺激する音は望めないものの、まったりと夜を過ごす際には凄くマッチする1枚だと思う。 【ピックアップ】05.The Secrecy クリーンボイスの出番が多い曲。本文では触れませんでしたが、ボーカルの表現力が以前より上がっていて音のスケールを広げるのに一役も二役も買っている。追従するようにギターが印象的なメロディをかぶせてくるのも良い。 ■こんな人にオススメ ・バランスの良い作品に惹かれる ・少しテイストの違ったドゥームデスが聴きたい ■主な入手方法 ・diskunion ・AMAZON(DLのみ) ・GRAVE ・はるまげ堂 ・Solitude Productions ■この音源に近いアプローチをとるバンド PANTHEIST、Arcana Coelestia Copyright © [ GARBOLOGY ] All Rights Reserved. http://garbology.en-grey.com/ |